今回は戦後から2077年までの復興を見ていこう。
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合衆国の歴史〜崩壊かと第四次企業戦争〜【サイバーパンク2077解説】
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戦後10年2024-2035
疲弊した企業と世界は、回復までに10年の歳月を要した。
戦争は終結したものの、各地で暴動や反乱が勃発、混乱した世界であったが、各国は徐々に活動を始める。
アメリカでは、エリザベス・クレス大統領がミリテクの資産を国有化し、国防省を再編、ミリテクの幹部を高給なポストに迎え入れた。
各国は徐々に回復してきたが、技術は停滞。というのも、それぞれの国は自分の傷を癒すことに精一杯で、他の国に目を向ける余裕がなかった。この頃からテクノロジーの流通の生命線となったのが「ノーマッド」だった。
ノーマッドは戦場や廃墟に残された物資を漁り、輸送弾を結成して密輸を行っていたのだ。
これが現実世界での話。その間、ネットワークの電脳世界では人工知能と人間を分ける仮想的な防壁「ブラック・ウォール」が建設されている。
再統一期2035-2069
ようやく息を吹き返した国と企業は、35年の年月をかけて復興に取り掛かる。漏出した放射能を戦場し、街のインフラは整備され、戦前の暮らしができるくらいまでには回復した。
中でも、アメリカ政府とクレス大統領に見捨てられた街「ナイトシティ」は特異な復興を見せる。ノーマッドや中小企業の協力により、再建されたナイトシティは連邦政府から外れたならず者の街としての復興を遂げる。
この頃になるとネット上では独立、つまりスタンドアローンネットワークが徐々に現れ始めた。しかしほぼ全てのネットは監視され、ネットランナーでさえ侵入が困難になるものだった。
統一戦争 2069-2070
2069年末、新大統領が当選した「ロザリンド・マイヤーズ」。強国化の名の下に、ならず者の自由州連合を連邦の統治下に置くための統一計画を提案。しかし、アメリカの自由州はこれに反対した。さぁ、戦争だ!
ミリテクの軍事部隊をバックにつけた新合衆国(NUSA)は、独立派の州群へ対し宣戦布告。独立派の州群には裏でアラサカが支援し、互いに最新鋭の軍事テクノロジーを使用した戦いへ発展、後に「金属戦争-メタルウォー-」と呼ばれた。
この時、ナイトシティは戦火を免れている。
統一戦争の終わりは、新合衆国と自由州連合の統一条約により終結する。自由州連合は自治権を持ちつつ、連邦政府に参加し内輪揉めを終わらせることを条件に、統一条約に署名。対して新合衆国はと言うと、先の戦争から泥沼の戦争がどうなるか、つまりアラサカとの正面衝突が何を意味するかを考え、渋々自由州連合を受け入れたことになる。
戦争終結後、ナイトシティは自由州や新合衆国の法律と統治から独立。自由都市としての地位を回復したが、巨大企業の影響力が最も強い地域となった。そして2070年、アラサカ本社がナイトシティのダウンタウンに建てられる。
そう、かつて核爆発で木っ端微塵に吹き飛んだアラサカ跡地に、本社を建設したのだ。名実共にアラサカが完全復活を遂げた瞬間である。
そうして、ナイトシティは繁栄を遂げた。しかし、貧富の差は広がり続けた。
現代の問題 2077
第四次企業戦争と、統一戦争が終わりを迎え、いよいよ時代は現代へ突入する。
先の戦争による環境汚染はかなり改善されたが、未だに各地で突然のハリケーン、トルネードが起きていることはあなたもご存知の通りだ。
ヨーロッパやアフリカ、アジア国では砂漠化が進み、多くの国が未だ自然の脅威と立ち向かっている。土壌枯渇も問題だ、この時代にも関わらず飢饉を招いている。ナイトシティがどれだけ恵まれた都市かがわかるな、頼めば30分後にはピザが食える。
サイバーテクノロジーは発展したが、同時にサイバーサイコを産むことになる。この辺については、別の機会に話すことにしよう。
さて、世界の歴史とナイトシティの話は今回で終わりだ。ようこそ、ナイトシティへ。
参考文献
Marcin Batylda.ワールド・オブ・サイバーパンク 2077,株式会社誠文堂新光社,2021年
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